『のはなし』 伊集院光

のはなし

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さて、私の『若者を見殺しにする国』がついに本日発売ということで、「カウントダウン0」でございます。

 というわけで、今日は伊集院光の単行本『のはなし』のことを書きたいと思います。

 って、えー、なんで他人の本の話なんだと文句のある方もいらっしゃいましょうが、自分の本の話はおいおいということで。



 まず「まえがき」を読んで驚くのが、この「のはなし」の元々は、tu-kaの契約者向けメールマガジンとして配信された内容から抜き出して来たものなのですが、このメールマガジンが「週3回、400字以上」という恐るべきハイペースで5年間も配信されていたということ。

 私なんか、週1で1,000〜1,500字というライブドアニュースの原稿ですら汲々としているというのに、すごいなと。

 「でも、一週間ごとの文字数としては、週3×400で1,200字だから、大してかわらないんじゃない?」と思う方もいるかも知れませんが、1つのテーマで週1回1,200字書くのと、3つのテーマで週3回400字以上かくのでは、後者のほうがはるかにキツいのです。伊集院も前書きで書いてますが、結局400字以上ということで、なんだかんだで毎回1,000字以上は書いていたそうです。

 実際、本文を一読してわかることですが、この本に掲載されている全ての文章には、ちゃんと「起承転結」があるのです。こうした文章を書くためには、当然400字じゃ足りません。私は以前、JCの読書会で毎回800字前後という文章を書いていましたが、起承転結を書くためには最低そのくらいの文字数は必要なのです。

 しかも、起承転を経た最後の、肝心の「結」の部分が、毎回ちゃんとオチている。

 普段の生活の中で、こうした起承転結を書き記すことができるってのは、本当にすごいことだと思います。

 もちろん、伊集院がタレントという場所にいるから、普通の人よりもおもしろおかしい環境にいるのは当然ですが、単純にそれだけではなくて、何気ない生活の中でもメリハリつけて楽しもうという感覚が、普通の人より強いのかなとも思いますね。

 文章的には決して派手なところはなく落ち着いてて、しかしそれでいて、コラムとしては面白い。自分にとっては「文筆の教科書」になるような本だと思いました。