2006-01-01から1年間の記事一覧

『スタープレックス』ロバート・J・ソウヤー

SFというのは……いや、少なくとも私の接してきた、私の好きなSF群というのは、その高度に発達した科学を文字の上に全開にしながら、その内実は人間のちっぽけな実存の意味を解き明かそうとしている作品群である。 宇宙の限りない広さや深さは、その一方で人間…

『オイディプス症候群』笠井潔

読んでいる途中に、本書が「矢吹駆シリーズ」と言われるシリーズの作品であることを知った。 シリーズものを途中から読んでしまって困るのは、やはり前作以前の話がでてきてしまうことで、作者が配慮してくれないと、ネタバレになってしまって、以前のシリー…

『搾取される若者たち』阿部真大

「労働問題は学者のメシの種じゃない」 現実に搾取される側の人間としてこの本を読んで感じたのは、怒り半分、呆れ半分。 だが、それは決して、著者の示すような、仕事への執着こそが搾取構造を生み出す不平等なシステムに対してではなく、著者に対してだ。 …

 『冠婚葬祭のひみつ』斎藤美奈子

日本の歴史修正主義者がいう「伝統」などというもののほとんどが、第二次世界大戦前後の慣習に過ぎないというのは、もはやお約束のような話だが、それはどうやら冠婚葬祭も同じらしい。 冠婚葬祭は、さも伝統と風格を重んじるようなイメージを浮かべながら、…

 『児童虐待』川崎二三彦

複雑化していく現代社会、親が自分の子供に暴力を振るう児童虐待の件数が増えている。 そうした中、児童救済のための機関である児童相談所の仕事も増えており、「児童の安心安全」を求める社会からの期待も今までになく大きなものになっている。 しかし、法…

 『デッドソルジャーズ・ライブ』山田正紀

んー、「あの人」が選ぶ山田正紀なら、やっぱり『影の艦隊』だろう。 ……ごめん、冗談だ。 山田正紀の描くSFといって、もっとも象徴的かつ力強い、彼の作家としての存在意義そのものと言えるテーマは「超越者との戦い」である。 そしてそれは、デビュー作の『…

 双頭の悪魔 有栖川有栖

困った。 私はいままでほとんど推理小説というのを読んだことがない。 だから、ストーリーやそのつじつまの良し悪しを判断する能力がない。 そして、推理小説の書評というのは、そういう点でのみ行なうべきであって、現代社会に対する何か批評だったものを書…

 赤頭巾ちゃん気をつけて 庄司薫

とりあえず「教養小説といえば?」と考えて、真っ先に頭の中に思い浮かんだのがこのタイトル。 モノをしらない2ちゃんねらーなら「それなんてエロゲ?」とでもいうのだろうが、これはれっきとした教養小説である。タイトルだけで偏見を持ってはいけない。 …

深夜のシマネコ読書録 開始にあたって

本日より、このBlogは「深夜のシマネコ読書録」として再会します。 目指すところとしては、自分の中であるテーマを設定し、その中で本を選択し、読んでいくことです。 テーマ自体はただの思いつきで、相互に関連性のある物ではありません。 当面のテーマは3…

団塊は苦労してへんやろ

この日記へのリンクやトラックバックはこのリンク先から ●三浦展の『ファスト風土化する日本(以下 ファスト風土)』をゆるゆると読み終わった? で、詳しくはあとでまとめて書きますが、単純に感想を記すと「あれ? まともなことを書いている」。 確かに最…

なかなか文章が書けない……

この日記へのリンクやトラックバックはこのリンク先から ●<環境省>CO2削減で本省は「午後8時消灯」 イメージ戦略のつもりなんだろうけど、逆に8時に全員退社できるような労働環境にに対して悪感情が出る気が……●<新聞特殊指定制度>「維持すべき」が…

年度が変わっても日本人のいい加減さは続く

この日記へのリンクやトラックバックはこのリンク先から ●で、結局「前原民主党」って何だったんだ? 自民党のスパイとして、自民党を立て直す役割を担っていたとすれば見事だが、それ以外に何かを考えていたというなら……●『平然と学内でセクハラする脳』出…

団塊テラキモスwwww

この日記へのリンクやトラックバックはこのリンク先から ●日記を2日も空けてしまい、すみません。(ちょっと前までは平気で一週間とか空けていたのは置いといて) いま、ちょっと力を入れていることがあって、それがうまくいってないので、ちょうどやりかけ…

嘘つき騙すな 嘘つき騙すな お前は嘘つき有罪だ

この日記へのリンクやトラックバックはこのリンク先から ●人を薬漬けにして、揚げ句の果てに殺害するのが、日本の体ってヤツですか。日本は素晴らしい国ですね。 要は、日本国民(という総体的イメージ)が麻原を殺したがっていて、それを高裁が「空気を読ん…

堀江は少なくともネオコンよりは正しかった

この日記へのリンクやトラックバックはこのリンク先から ●武田さんの文章で知ったのだが、「世の中、カネで買えないものなんてない」という、マスコミがこぞって堀江をカネの亡者である象徴として扱った、あの有名な台詞には、本当はこんな意味があった。日…

時をかける三浦展

この日記へのリンクやトラックバックはこのリンク先から ●三浦展の『ファスト風土化する日本』を読んでいるのだが、あまりの面白さに頭痛がしてくる。 詳しくは後に「知性下流社会」で触れるつもりですが、あまりに面白過ぎる部分を1つ紹介します。 2002年…

科学的って?

この日記へのリンクやトラックバックはこのリンク先から ●雑記帳 「デートに使える科学ネタ」文科省が無料誌作成 今、国が必死になって「科学リテラシーを身につけさせよう」とやっているのだけれど、それは「科学だから正しい」という宗教を広めようという…

フォーチュンオーブ3

この日記へのリンクやトラックバックはこのリンク先から ●一ヶ月連日更新できませんでした。 また連日更新できるように頑張ります。●昨日は一日中メダルゲームやってた。 ホームに「フォーチュンオーブ 第3章」(以下 FO)が入っていたので、さっそくプレイ…

また、更新が遅れた

この日記へのリンクやトラックバックはこのリンク先から ●警察職員拳銃無断持ち出し 写真撮り自分のHPに掲載 多くの人がサイトを見れば、自分の犯罪が発覚するという、至極単純なことに気がつかなかったのか?●一斉捜索は違法と警告 「白装束」めぐり日弁…

モラルでウィルスを駆除できるのか?

この日記へのリンクやトラックバックはこのリンク先から ●ちょっと21日を過ぎての更新ですが、まぁいいか。21日分ということにしてしまおう。●ヤフー、ネット商店3千社の情報流出 ウィニー介して(朝日) 最近、「ウィニーを介して重要情報が流出」という記…

もっと数値を明示しようよ

この日記へのリンクやトラックバックはこのリンク先から ●昨日の牛乳の件について、もう一つ。 生乳としてのロングライフ(冬に生産が増えて、夏に需要が増えることを考えると、9ヶ月ぐらいの保存性が必要)の他に、牛乳自体の付加価値を上げるという方法論…

中川はいい加減だなぁ

この日記へのリンクやトラックバックはこのリンク先から ●牛乳100万本廃棄 「太る」印象、消費者敬遠 牧草スクスク、生産過剰 そもそも牛乳は常態ですらまともに商品としての機能は果たしていないのと同じで、供給過多で需要とのバランスが全く成り立って…

雑事

この日記へのリンクやトラックバックは下記URLから http://www.journalism.jp/t-akagi/2006/03/18/ ●日本テレビのDr.レオン特番は、最高にくだらなくて面白かった。コンプリートです。●hotsumaのURLメモ。より 「“産科”から逃げ出す米国医師」 今ちょうど日…

「知性下流社会」シリーズ その11(その2) 第5章「自分らしさを

この日記へのリンクやトラックバックは下記URLから http://www.journalism.jp/t-akagi/2006/03/17/ ●なんか、別の意味でWBCは面白いな。 まぁ、QMAでも「12位、8位、4位、優勝」とかいうのは普通にあるからね。最後に勝てればいいんじゃね? しかし、次は…

今日はお休みします

この日記へのリンクやトラックバックは下記URLから http://www.journalism.jp/t-akagi/2006/03/16/ ●昨日の日記をBlogにコピペするのを忘れてました。●昨日はわざわざ池袋まで行って、『不滅の男 エンケンVS日本武道館』のDVDと『にゃあ』のCDを買ってきた。…

芹沢一也『ホラーハウス社会 法を犯した「少年」と「異常者」たち』を読んだ。

掲示板でこの本を紹介してくれた人は この本のタイトルのつけ方は「売れる本」を狙ったおかげか? 趣旨がずれてしまってます。 と、書いていますが、読後の私の感想は「うまいタイトルをつけたなぁ」というものです。 異常者を用いて、地域住民が新しいコミ…

「知性下流社会」シリーズ その11第5章「自分らしさを求めるのは「下流」である?」

今まで「嫌下流社会」と「知性下流社会」の2つが混在していましたが、今後は「知性下流社会」に統一することにします。 理由としては、議論を決して「反下流社会」に限定することなく、日本人の知性低下に広く言及することを目的とするためです。その1つと…

あの話の結論

あれって、金に困った野田が手持ちのネタで金を稼いだってだけのことでしょ。 公安も元公安も、存在意義がオウム転がすしかないってのがなんともwww

いったん終了といいつつ、こぼれ落ちていた論点と、自分の考え方に対する自己批判を少々。

まずは、こぼれ落ちていた論点から。 簡単に言うと、「努力したこと」と「経済的成功」の間に因果関係は成立するのか? という疑問。 ひとまず昨日までの記事では「給料」という視点からこのことを見ていたけれども、その本質は高度経済成長という文句の付け…

右翼は弱者から金を取り上げる。左翼は弱者に金を与えない。

結局、両者がタッグになって、我々を苦しめているわけですね。 よく分かりました。ありがとうございました。