芹沢一也『ホラーハウス社会 法を犯した「少年」と「異常者」たち』を読んだ。

 掲示板でこの本を紹介してくれた人は


この本のタイトルのつけ方は「売れる本」を狙ったおかげか?

趣旨がずれてしまってます。

 と、書いていますが、読後の私の感想は「うまいタイトルをつけたなぁ」というものです。

 異常者を用いて、地域住民が新しいコミュニティーを築き上げ、怖がりながらも楽しんでいる様は、まさしく遊園地のホラーハウスさながらです。

 実際、私がオウム事件の頃から社会に対して感じていたのは「ああして批判している人たちって楽しそうだなぁ」というそれでした。

 そうした、ある対象を罵倒することによるコミュニケーションというのは、まさしく「イジメ」のそれなのですが、「イジメ社会」だとあまりにも陰惨なイメージがあり、なおかつ虐める側がイジメを認識していないので、イメージが湧きにくい。

 しかし、ホラーハウスなら、あのドキドキ感と楽しみの入り交じった感情は誰しも想像しやすいのではないでしょうか。

 もちろんそこが、この本の最重要点でないというのは分かりますので、「内容とタイトル」という意味でのズレは感じますが、現代社会を表す単語としては「ホラーハウス社会」というのはよくできた言葉だと思います。

 ああ、そうか、でもホラーハウスだと、舞台裏の意味が逆転しちゃうのか。ホラーハウスのお化けは作り物だけど、社会のホラーハウス化は、現実の人間が遠ざけられ隔離されるわけだから。

 ホラーハウスと、現実の区別がついていない社会……これをどう表現するかと考えると、難しいですね。



 今日はこれから出かけるから、早いうちに更新しておこう。