『デッドソルジャーズ・ライブ』山田正紀
んー、「あの人」が選ぶ山田正紀なら、やっぱり『影の艦隊』だろう。
……ごめん、冗談だ。
山田正紀の描くSFといって、もっとも象徴的かつ力強い、彼の作家としての存在意義そのものと言えるテーマは「超越者との戦い」である。
そしてそれは、デビュー作の『神狩り』で極めて具体的かつ印象的に描かれており、代表作を1つ選べと言われれば間違いなくこれを選ぶのだろうが、あの人の100冊は、すべて微妙にその作家の代表作をあえてハズしているところが特徴である。
それで、超越者との戦いでありながら(この点、異論もありそうだが)、代表作であるとは言えない、この『デッドソルジャーズ・ライブ』があえて選択されている。
意識共鳴スペクトローラーに意識の有無をひたすらに尋ねられ続ける“44”“29”“26”。
彼らは時には仲間、時には夫婦、時には敵対者として、しかし常にお互いを意識、認識しながら、延々と臨死に至るストーリーを演じさせられ続けている。
と、言われても読んでない人にはサッパリワケが分からないだろうが、これ以上書いてもネタバレにしかならないので、ストーリーを追うことはここでやめにしよう。禁則事項ってことで。
とにかく、「生と死」「拘束と自由」という極めて普遍的なテーマに山田正紀が挑むと、こういう作品になるのかと感心する。
そして、読後の極めて深い徒労感も、いかにも山田正紀らしい。というか、一回読むと半年は読みたくないね。面白いけど疲れるから。
とはいえ、図書館で一緒に『神狩り』を読んじゃったし、ついでに発売直後に買って目を通していない『神狩り2 リッパー』も読もうと考えてしまっているわけで、中毒性の高い高い作家ですよ。
まぁ、俺の他にも例の「100冊企画」を通して読んでみようとしている人は多いみたいだから、そういう人には山田正紀はぜひ覚えておいてもらいたい作家の一人です。
ちなみに読みやすさと言う意味では、冒頭に書いた『影の艦隊』はオススメですね。でも、なかなか手に入らないか……。俺はたまたまブックオフで全巻揃って発見できたんだけど。
……感想ほとんど書いてないや……