03:あの人の100冊+α

『ハイペリオン』ダン・シモンズ

このシリーズをやるうえで、絶対に欠かすことのできない作品。 なるほど、これは娯楽大作だ。 全体としてSFの膜に包まれながらも、個別のストーリーはファンタジーで戦争物でホラーでハードボイルドで、そして最後にはとても人間的で、いわゆる「SFを読むよ…

『スタープレックス』ロバート・J・ソウヤー

SFというのは……いや、少なくとも私の接してきた、私の好きなSF群というのは、その高度に発達した科学を文字の上に全開にしながら、その内実は人間のちっぽけな実存の意味を解き明かそうとしている作品群である。 宇宙の限りない広さや深さは、その一方で人間…

『オイディプス症候群』笠井潔

読んでいる途中に、本書が「矢吹駆シリーズ」と言われるシリーズの作品であることを知った。 シリーズものを途中から読んでしまって困るのは、やはり前作以前の話がでてきてしまうことで、作者が配慮してくれないと、ネタバレになってしまって、以前のシリー…

 『デッドソルジャーズ・ライブ』山田正紀

んー、「あの人」が選ぶ山田正紀なら、やっぱり『影の艦隊』だろう。 ……ごめん、冗談だ。 山田正紀の描くSFといって、もっとも象徴的かつ力強い、彼の作家としての存在意義そのものと言えるテーマは「超越者との戦い」である。 そしてそれは、デビュー作の『…

 双頭の悪魔 有栖川有栖

困った。 私はいままでほとんど推理小説というのを読んだことがない。 だから、ストーリーやそのつじつまの良し悪しを判断する能力がない。 そして、推理小説の書評というのは、そういう点でのみ行なうべきであって、現代社会に対する何か批評だったものを書…

 赤頭巾ちゃん気をつけて 庄司薫

とりあえず「教養小説といえば?」と考えて、真っ先に頭の中に思い浮かんだのがこのタイトル。 モノをしらない2ちゃんねらーなら「それなんてエロゲ?」とでもいうのだろうが、これはれっきとした教養小説である。タイトルだけで偏見を持ってはいけない。 …